ボルソナロ大統領は25日(金)付けで在宅勤務のルールを規定する暫定措置に署名し、28日(月)に政府公報(Diário Oficial da União)にて公布されました。これにより、暫定措置は60日の間法律と同様の効力を持つようになります。一回のみ延長が可能ですが、最終的に法律となるには連邦議会での承認が必要です。

今回の暫定措置の目的は、コロナ禍で需要が急増したリモート形態の労働ニーズに合った法律を制定することです。

暫定措置による新たな規定は以下の通りです。

  • 在宅勤務やリモートワークの形態で業務を行う場合、個々の雇用契約に明示的に記載しなければならない。
  • 在宅または出社どちらかの割合が高いハイブリッド型勤務での採用が可能。
  • 在宅勤務は、勤務時間、成果物および業務単位で契約することが可能。
  • 成果物単位で契約を交わした場合、勤務時間の管理を規定するCLT(ブラジル労働法)の条文は適用されない。
  • 勤務時間の管理が必要でない業務については、労働者が望む時間に自由に業務を遂行することができる。
  • 勤務時間に基づいた契約の場合、雇用者は勤務時間の遠隔管理が可能で、正規の労働時間を超過した場合は残業代の支払いが求められる。
  • 障害者または4歳未満の子供を持つ労働者は、在宅勤務の仕事に優先して就くことができる。
  • 在宅勤務は、見習い・研修生にも適用可能。
  • 労働者が特定の作業のために出社をする場合、それが習慣的な出社の場合であっても、在宅勤務の定義からはずれることにはならない。

在宅勤務の給与・社会保障

労働省のブルーノ・ダウコモ事務局長によると、今回の暫定措置により、個人や組合との合意による給与の削減が起こらないことが保証されます。

同様に、社会保障のルールにも変更はなく、在宅勤務者には出社勤務に適用されるのと同じINSS(社会保障)のルールが適用されます。

成果物・業務単位の契約

成果物および業務単位で契約した場合、労働時間管理の対象外であるため、時間外手当や夜間手当は発生しません。

在宅勤務で使用するインフラ、ソフトウェア、デジタルツールなどの技術設備の勤務時間外での使用は、個別合意または労働協約に規定されている場合を除き、待機時間には該当しません。

また、法定休憩時間が確保されていることを条件に、企業と従業員の間で通信可能な時間帯を規定する個別合意が可能になります。

在宅勤務の設備費用

また、電気、インターネット、機器代など、労働者が負担した在宅勤務の経費を企業が負担することが認められるようになります。

別の場所からの在宅勤務

以前は、在宅勤務と出社勤務を交互に行ったり、会社の所在地と異なる場所から在宅勤務をすることは労働法により認められていませんでしたが、この暫定措置には在宅勤務者が転居した場合の規定も盛り込まれています。

労働者が勤務先の所在地から別の場所へ転居しそこから在宅勤務をする場合、契約を結んだ場所の法律が適用されます。個々の契約に盛り込むことで、国内だけでなく海外へ転居し在宅勤務を続けることも可能になります。なお、ブラジル国内で海外に在籍する企業に勤務する労働者にはブラジル労働法が適用されます。

従業員が契約書に記載された場所から移転する場合、当事者間で特に定めがない限り、通勤にかかる費用は従業員が負担することが定められています。


参考記事:

https://g1.globo.com/trabalho-e-carreira/noticia/2022/03/28/mp-que-regulamenta-o-home-office-e-publicada-entenda.ghtml

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