ブラジルでは慢性的な人材不足が企業を悩ませている。大卒者や有資格者に自社をアピールし採用につなげるために参考になる調査報告書をロバート・ハーフ社がまとめた。
調査はブラジル全土を対象としており、Cレベルの経営幹部300人と25歳以上で大卒の社会人387人(失業中の人も含む)から回答を得た。
Cレベルの経営幹部による今年度の採用の見通しは、約7割が困難と回答した。
- 69%が優秀な人材の採用は困難になると回答
- 49%が自社の優秀な人材が離職する可能性があると回答
- 48%が自社の離職率はパンデミック以前よりも高くなると回答
人材維持への不安や離職率の増加の理由として「優秀な人材への他社からの引き合いの再開」、「仕事上のプレッシャーの増加」、「給与への不満」、「企業風土への不満」が挙げられた。
不安材料を克服し、採用競争力を高め、良い人材を維持するためには、給与が職務・能力に対して適正であることは言うまでもなく大切だ。しかし、コロナ禍の影響による財政の悪化等で競争力の高い給与設定が難しくても、福利厚生、リモートワークの導入、ESGへの取り組みを見直すことで魅力的な雇用先になれることが調査結果から明らかになった。
福利厚生
コロナ禍により在宅勤務に以降したことで、働き手が望む福利厚生も変化した。一番多かった要望は、個人のニーズに応じて内容を選択・カスタマイズできる柔軟性の高いプログラムの導入だった。
働き手が重要視する福利厚生
- 健康保険
- 食料品手当て
- 食事手当て
- 私的年金保険
- ノートパソコン
実際に受けている福利厚生
- 健康保険
- 歯科保険
- ノートパソコン
- 食事手当て
- 出勤時の駐車スペース
リモートワーク
ブラジルではコロナ禍によりホワイトカラー労働者は1年半に渡り在宅勤務を経験した。以前はリモートワークを役職などの特典として提供していた企業があったが、今回の経験により、約8割が在宅勤務を「特典」ではなく働き方の一つだと考えると回答した。
- 76%がリモートワークを特典ではなく働き方の一つであると回答
- 38%が勤務先がリモートワークを許可しない場合、転職活動をすると回答
- 63%が出社勤務より在宅勤務を望むと回答
働き手が望むワークスタイル
- 64%出勤日より在宅勤務日が多い
- 17%在宅より出勤日が多い
- 11%完全在宅
- 4%完全出勤
- 4%無回答
ESG(環境・社会・ガバナンス)
企業の長期的成長に重要な環境(E)・社会(S)・カバナンス(G)の3つの観点は投資先を選ぶ際に重要視されるようになったが、転職や就職を決める際に重要視する働き手が増えている。
- 83%が企業の採用オファーを承諾するかしないかを決める際に、ESGスコアを考慮すると回答
- 50%が勤務先のESGへの取り組みが勤務を継続する動機となっており、転職は考えないと回答
給与
良い人材を獲得するには、職務内容や能力に適正な給与額であることはもちろん、コミッションなど競争力の強い給与設定をする必要がある。HISコンサルティングでは、給与相場の調査や職務・役職に対する給与の適正調査を承っております。お気軽にご相談ください。
※参考資料:
https://www.roberthalf.com.br/guia-salarial
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